犬も歩けば猫も歩く

中年サラリーマンの生活と副業について書いています。

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人生最大の大失敗をしてしまった男

再就職から数年が過ぎ、ようやく仕事に慣れてきたと油断していた訳ではないが、遂に人生最大の大失敗をしてしまった。


同業他社からの転職だったのだが、同業とはいっても幅が広い。新しい会社では、今まで取り扱ったことが全くないようなものも多く、まったくの異業種へ入ったのかと錯覚するようなこともしばしばあった。

大失敗をした男

今回、お客さんから注文が入った製品も、あまり馴染みがなく、オーダーの中に間違った材料が含まれていることにまったく気がつかなかった。


経験則があれば、「指定されている材料は、この製品との相性が悪いので、こちらを使用されては?」といった提案も出来たのだろうが、男はそれに気がつかずやがて納品日を向かえた。


そして、すぐにクレームの電話!

「○○さん、納めてもらった製品に不具合が出ているんだけど?」


あわてて伺ったが、見事な不適合品だ。そして、自分のミスに気がついた。
これは作り直すとなったら、何十万という費用が掛かるだろう。


でも、現場からは何のアナウンスもなかった。
気がつかなかったのか?
それとも、分かっていてやられたのか?
もしそうなら、とても悲しい話だ・・・。


身近で信頼の出来る人に相談をすると、これはとても初歩的なミスらしい。20~30代の若者なら、会社に謝罪してすむ話だろうが、これを報告すると「こんなことも知らなかったのか?」と自分の株を大幅に下げるだけでなく、自己責任と突っぱねられることになるだろう。


1年くらい前に中途で入社した中高年の方が、会社からは僅かばかりの得意先しか与えられなかったので、頑張って新規のお客さんを獲ってきたのだが、すぐに支払いが滞り、会社からやはり自己責任と突っぱねられた。後から聞いた話だが、その方は自腹を切らされ逃げるように退職していった。


翌日、男は得意先の社長を訪ねた。
覚悟は出来ていた。
こちらに落ち度はもちろんあるが、先方にも落ち度がないわけではない。ダメ元で交渉して決裂した場合、最悪自腹も覚悟した。


何度も頭を下げ謝罪をすると、70歳を超えると思える白髪の紳士は、
「今回の件は、うちの発注担当にも責任がある。掛かる費用は全額うちが持ちますから。」と言ってくれた。


そして、
「あんたとの取引が始まったのは、たしか2年くらい前かの?飛び込みでやってきたあの頃と比べると、ずいぶんと痩せたんじゃないのか?」


怒るどころか、こちらの身体を気遣ってくれた。
ありがたい話だ・・・。


男気のある社長のお陰で、今回の件はクレーム扱いにはならず、当然会社に報告する必要もなく、社内の誰にも知られることがなくなった。


もう、あの社長の住む家の方角に足を向けては眠れない。