ETCなんか付けて、得した気になってませんか?
昨日は、週末だというのに散々な一日だった・・・。
ことの始まりは木曜日の夜。
上得意先の若社長から電話が掛かってきた。
「連休前に納めてもらった商品だけど、不良が出てきちゃったんで明日の朝持って行くから!」
そして、さっそく昨日の朝一で若社長が見えて、ものを見せられると、確かに不適合品である。これではクライアントに納品できない。
納めたばかりの商品をその場で20ケースほど返品されて、検品をすることになった。しかし、今の時期はお盆休みをずらして取っている社員も多く、とにかく人手が足りない。でも、そんなことは言ってられないので、なんとか社員のみならずパートさんまで確保して、検品の体制はできた。
こういうクレームが発生した場合、社内には一応「生産管理」と名のつく部署はあるのだが、うちの会社はそんじょそこらのブラックではなくて、年季の入った“大人のブラック企業”だから、まわりは見て見ぬふりである。自分でやらなければならない・・・。
朝からそんなことやっていたら、気がつくとお昼をとっくに過ぎてしまった。その日にやらねばならない仕事もたくさんあったが、遅めの昼食を食べてそこからのスタートだ・・・。
そこからは一日かかる仕事を半日でやらなければならないので、もうバタバタだった。そんな日に限って、急な見積もり依頼があったりしたが、ようやく20時頃に終わりが見えてきた。
「もう、ホントに今日は疲れたわ~」
とつぶやいた瞬間、電話が鳴った!
朝に見えた若社長だ!
「○○さん、また不良だよ~!」
聞くと、2日前に納めた商品からも不良が出てきたらしい。
“クレームの連鎖”
営業をされている方なら分かると思うが、クレームというのは波のようにやってくる。実は2日前にも、別のお客さんから大クレームが発生して、そして今日と今週はクレーム処理の毎日だった。
何もない平和な日々が数ヶ月続いたかと思えば、いっときクレームが発生すると、波のように次から次に問題が発生する!こうなると、本当に心身共に消耗が激しい・・・。
といっても、とりあえず誠意だけは見せなくてはいけないので、
「これから伺いますので、拝見させてください!」
と伝えて、帰りも遅くなるだろうからと自家用車で得意先に向かった。
ちょっと離れた場所なので、ようやく客先に辿り着くと、見せられた商品は「はい!不良!」といえる状態で言葉にならない。ホントにもう、現場は何やってんだよ!と言っても、若社長の目が完全に怒ってる!
とにかく頭を下げまくって、取りあえず自分の車に積める分だけ積んで、残りは週明け一番に回収に伺いますとのことで、了承をしてもらった。
ようやく終わって、帰路は最寄りのインターチェンジから高速道路に乗った。
もう、遅い時間なので道路もガラガラだ。
気持ちが凹んでいて、ラジオも音楽も何も聞く気にもなれない。
静寂の中、黙々と自宅に向かって車を走らせた。
「もう、疲れたわ・・・。来週は事後処理でもっと大変だろうな・・・。」
そして、ようやく自宅近くの料金所へ到着!
うちのオンボロ車は、古いのでETCなど付いてないので、一般レーンへ。
すると、料金所のおじさんが、
「遅くまでお仕事ご苦労様です!天気が悪いですから、お気を付けてお帰りになってください。」
その言葉を聞いて、なにか救われた。
人生捨てたもんじゃないなぁ!心の温かい人もいるんだ。
有料道路の料金徴収員は、10年後にはなくなっている職業という記事を見たことがあるけど、なんでも機械化すればいいってもんじゃない、こういう職業はなくしちゃいけないなぁと感じた。
うちの車に、ETCなんか付いてなくてよかった!と強がりだけど、今日はそう思った。
こちらこそ、遅くまでお仕事ご苦労様です!岩井さん。