犬も歩けば猫も歩く

中年サラリーマンの生活と副業について書いています。

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僕が「ハルキスト」をやめたわけ!

出会いは衝撃的だった!

遊びに行った友人の部屋に置いてあった二冊の本を見かけたのが始まり。


「それ、面白いよ!」

「俺読んじゃったから、よかったら貸してやるよ!」

村上春樹の本

赤と緑の装丁に金色の帯、しかし派手な本だ。

ノルウェイの森(1987年)

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読み出したら、どんどん引き込まれていく!食事も取らずに読み進めて、2日ほどで読破。読み終えて、一旦は友人に返したが、その帰り道本屋に立ち寄り、購入して帰った。


しばらくしてまた読み返して、いったい何回読んだのか分からなくなるくらい読んだ。こんなに自分を夢中にさせたのは、映画「ターミネーター」「インディージョーンズ」「エイリアン」、本では「人を動かす」「小説ビートルズ」ぐらいだ。


この作品は、彼がイタリアに住んでいた頃で、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を聞きながら書かれたことを知っている人は、意外と少ないのでは?


当時は、もちろんパソコンなどない時代だったので、原稿用紙に鉛筆で書いていたそうで、原稿をコピーしようとお店に持って行ったら、原稿がコピー機に絡まってしまって、大変な思いをしたそうである。


それから、ハルキストになった。


デビュー作の「風の歌を聴け」1979年 に始まり、「1973年のピンボール」1980年 と読み進めて、彼の著書すべてを読んできた。それだけには飽き足らず、彼の投稿した雑誌まで読みあさった。


当時、彼はこんな発言をしていた。

「ノルウェイの森」を映画化しませんかという誘いが頻繁にあったらしいが、彼は一貫して断り続けた。


「あの世界は、僕が頭の中で作り上げたもの。映画では絶対に表現はできない。」


こう言っていたはずなのに、数年前映画化された。なぜなんだろう・・・。
自分もそう思うので、もちろんこの映画は観なかった。今後も観ることはないだろうね。


「羊をめぐる冒険」1982年 では、北海道を旅する秀作だった。

これから彼の作品を読んで見たい方は、デビュー作の「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」そして「羊をめぐる冒険」の3作品は絶対に読んでほしい。


彼は小説だけでなく、エッセイも秀悦だった。ビールと豆腐と引越しとヤクルト・スワローズが好きな「村上春樹ワールド」を、イラストレーターの安西水丸画伯のイラストが彩った「村上朝日堂」1984年 は、その中でも最高の作品です。


二つの物語が同時進行する作品「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」1985年 これは不思議さがとても魅力です。第21回(1985年) 谷崎潤一郎賞受賞!


「日出る国の工場 1987年

これは、ご存じ安西水丸画伯とさまざまな工場を見て歩いたエッセイ集。カツラ工場や結婚式場などが登場します。エッセイで登場した結婚式場は、当時自分が住んでいた近くにありましたが、現在は取り壊されて葬儀場になっています。


「遠い太鼓」1990年

ギリシャ・イタリアを旅する、1986年秋からの3年間に書かれた旅行記です。彼が奥さんと2人でギリシアとイタリアで生活していた時代の実話が書かれています。個人的には、彼の著書の中では一番好きな作品です。


と、どんどん彼の作品にハマったいった自分ですが、たしか女性誌「ハイファッション」だったと思うのだけど、本場の讃岐うどんを求めて、安西水丸画伯と香川県を旅するエッセイがありました。


店舗ではなくて、畑の真ん中にある製麺所みたいなところで讃岐うどんを食する風景が描かれています。


これを読んだ自分は、居てもたってもいられなくなって、彼女を連れて寝台特急で香川県まで行ってしまったのだ!このとき食べたうどんを超えるものは未だに現れません。


「ねじまき鳥クロニクル」これは3部作です。この物語に登場する「笠原メイ」という女の子がとても魅力的だったのが印象。


「アンダーグラウンド」1997年

地下鉄サリン事件の被害者をインタビューしたノンフィクション。ボリュームがあって、辞書みたいな本だったけど、読み応えがある作品でした。


当時、雑誌かなにかのインタビューで、彼はこういう発言をしたのを覚えています。

インタビュアーの「作品を書くに当たって、構想はもちろんだと思うのですが、展開や結末などはイメージされた上で、書かれているんでしょうか?」みたいな質問に対して、

「結末はまったく考えていません。こういうものを書きたいと思ったら、勢いに任せてどんどん書いていきます。書いているうちに、結末が見えてくるんです。」


やっぱり天才は違うな~!とますます彼の魅力に惹かれていったのですが、ついにその時は訪れます。


「海辺のカフカ」2002年

15歳の少年の冒険を描いた長編小説で、上巻は本当にすごかった。どんどん話は展開して、のめり込んでいく自分に気がつきます。


しかし、下巻は酷かった・・・。


勢いに任せて、どんどん展開していった物語は、その着地点を見つけて迷走します。あくまで、個人的な意見ですが、下巻は別人が書いたような内容だった。


それ以来、彼の作品は一切読まなくなった。


彼は天才です。でも、天才でもいつか終わりは訪れます。自分にとっては、それが「海辺のカフカ」だった。


天才イチローでさえ、いつかバットを置く日が訪れるように・・・。